多摩美術大学図書館

竣工年:2007年
所在地:東京都八王子市
建築設計:伊東豊雄建築設計事務所

掲載誌
新建築 2007年7月号
GA JAPAN 85
日経アーキテクチュア 2007.8.13
建築技術 2007年9月号

緩やかにカーブしながらアーチが連続し交錯する空間には、透明だが存在のある空気が建築全体に常に流動的に流れている。この独特の空間体験を失わない図書館家具の在り方を見つけることが、蔵書数(開架12万冊)と書籍配架計画とともにもっとも重要な課題であった。

一筆書きのような曲線の低い書架をアーチをすり抜けるように配置したことで、利用者はカーブする書棚に誘導されて知らず知らずのうちにこの空間を体感することになる。空間がもたらすメッセージに呼応して、建築と人を繋ぐ重要なインターフェースとなる全ての家具は、組成を生かした素材の特徴がそのまま手肌に届くように注意深く仕上げている。特に精度の高いアルミハニカム板と鋼板による曲線書架や、手仕事の柔らかさを生かしたフェルトの椅子やベンチからは、視覚的触覚的な感覚を体験してほしい。